In&Up! -TNGパトレイバー日記-

2013年12月

1221_IMG_7307

押井監督のOK!判断は
とにかく速い。
そして、
ありがたい差し入れを頂く。
ai (><

1220IMG_7428

 たとえば、やりたいことを生業にする、ということ。
 「なぜ、それをするのですか」と押井監督やスタッフの声を拾うと、「やりたかったから」と帰ってくる。

 「やりたかったから」。ずいぶん久々に聞く言葉であった。

 押井監督の言葉は、様々な温度を持つ。聞く耳に合わせて言葉を選ぶ。けれど、何を聞いても“迎合”という概念からはほど遠い。ある海際の撮影で「ぼくは追憶という言葉が嫌いでね」と仰っているのを聞いた。

 「実写化も、追憶になってはならない」。

 そう、“実写化”という言葉は先行しているイメージに囚われ、“みんなの期待”という正体不明の敵に晒されながらものづくりが進む。
 媚びることの空しさ、期待に添わねばならないという寂しさ、そんなことを気にして、何をやりたかったのか忘れてしまう悲しさ。まるで現場の神棚のように鎮座するイングラムを撮影で見て、同録現場にてスタッフ全員で息を呑む度に、押井監督に遅れをとる自分を感じる。「実写化、なんて、やってみなけりゃ解らない。そんなことも、解らないのかね、みんな」

 追憶を続けても、未来はないのだ。
 それが型通りで無くとも、走る。

1212_IMG_7908

20131205:晴れ。in東京湾

透明な空に冷ややかな陽光が反射する。
我々の船はカメラを乗せて走っている。
そして穏やかで冷たい東京湾が船底を滑り運ぶ。
潜れば底なしの寒徹だが
午前中に仕事を終えた我々は空と波の狭間の師走の風を楽しむことにする。
早朝の仄白んだ空と湾の青の明確なグラデーションが
天から水中へ順々に繋がっている。

監督の「パッと撮り終わって夕方には幸せに帰る」と
冗談半分、信条半分の美意識は、今日も発揮された。
役者の明晰な演技と監督の乾いた即決、
「よーいスタート!」と「OK!」の僅かな間に
映画において重要な数分感の空気が切り取られる。
特車2課に少しでも馴染みがある人には
今日のカットは「遂に、」と思うに違いない。

船が進み大きな橋の影を通り揺れる度、
我々は観光のようにはしゃぐことは出来まいが
どことなくスタッフは楽しげな顔をしている。
監督も和やかである。
その瞳は東京の波のように柔和に濃く
判断は今日の空のように澄み切る。
揺れる船だけが、映画の不穏さを体現しているようである。

このページのトップヘ